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気まぐれ Art note

洲之内徹が連載した「気まぐれ美術館」に憧れてます。

刑務所内の絵手紙教室

■「心が閉ざされた彼らが、絵手紙をかくなんて……」

『月刊絵手紙』という雑誌の編集部に勤務していたことがあります。そのときに、刑務所内での絵手紙教室を紹介したことがありました。このときの記事が強く心に残って、何年か経った今でもふと思い出します。

 それはある日、
「受刑者の皆さんに教えてほしいんです」
という、係官の依頼から始まったと絵手紙講師の方からお話いただきました。

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*本文より抜粋
「ここには600余名の受刑者がおり、その3分の2が殺人等の生命犯」。
「踏み出す1歩はいつも不安なものですが、寒さと緊張で少し青ざめて見える所内のクラブ生の温かく優しい眼差しに迎えられた時、この人達が本当に大罪を犯したのだろうかと、信じられない気持ちでした」。

 

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*本文より抜粋
「最初はどうしても目に見える形の美しさに、こだわっていました。しかし、もう失うものは何もない、誰に見せようという見栄もない彼ら。回を重ねるごとに、見栄を張った美しさより、飾らずに自分自身の内側を出すことのほうが、余程魅力があり、人の心を打つということを…」



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*本文より抜粋

「ちっぽけで薄っぺらで何の力もないように思われますが、手紙は本当の心を伝えてくれます。書く人の心が入り込んでいれば、必ず人の心に届くもの。その喜びこそが人を立ち直らせたり、生きる力を湧き立たせてくれるのではないでしょうか」。

絵手紙に書かれた言葉が届きます。
「山々は 山々だけは 黙って 僕を受入れてくれます」
ーやっぱり人を殺したりしたら人生ダメですね、と話してくれたYさん。

 

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表現することや生きることの、とても大切なことがここにある気がしています。
でも、まだ私はその「大切なこと」をうまく文章にできません。
表現できずに犯してしまった罪、しかし自分を表現できたことで、過去の辛くどうしようもなかったことが溶けていくような絵手紙。見ているとこちらまで穏やかな気持ちになれます。

 

この記事を掲載したのは、2005年4月号『月刊絵手紙』
もうバックナンバーもありませんし、この大切な記事が埋もれてしまうなら、
この6ページをここに記録しておきたい。そう思いました。