気まぐれ Art note

洲之内徹が連載した「気まぐれ美術館」に憧れてます。

Photographer’s Interview の舞台裏Ⅱ

▪️写真の道は 山登りに似ている

某写真雑誌の仕事で、7人のフォトグラファーに6つの質問を用意し答えてもらったことがあった。そのなかで
Q あなたにとってスチルライフとは? という質問をした。
ある人が「登山」と答えた。
 

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昨日から徹夜で撮影だったと言うその人は、思い出すようにして「最近、富士山に登ったんですよ」と話し出した。
頂上まで登るのは途中から辛くなって、上を見てしまうと気が遠くなるからずっと足元を見て歩いた。一歩一歩、ひたすら無心に歩いた。すると「着きましたよ」という声がして、パッと顔をあげたら目の前にすばらしい風景が広がっていた。これが富士山頂からの風景か、歩いてここまでくるのは辛かったけれど、辛い分こんなご褒美をくれるんだ、と思ったと言う。写真も同じで、厳しくて辛い世界だけれどその分だけのよろこびと楽しみをくれる。ただし、写真の世界に頂上はない、どこまでも登らなければいけないと言っていた。
 
一歩一歩辛かったけれど、がんばればこんな素晴らしい風景をくれるのか
 
この言葉が印象的で、以来、富士山を見ると思い出してしまう。
先日、伊豆から富士山が見えたので、久しぶりにこのときの雑誌を本棚から引っ張り出して読み返してみた。文字制限のために要約され、自分で聞いた話を自分でそぎ落としてしまったような……。
ならば、やはりここに記憶しておこう。