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気まぐれ Art note

洲之内徹が連載した「気まぐれ美術館」に憧れてます。

「えっ? 君は画家にならないの?」

▪️府中市美術館で開催中の「武蔵府中 炎の油画家5人展」を観て

この感動をどう伝えていいのか戸惑うほどに、満たされています。2度足を運びました。2回観ても飽きない。よかったんです。どの絵にも力があって、生命という”炎”を感じました。すべてに引き込まれるようなエネルギーがあったのですが、なかでも一番印象深かった人をご紹介します。

 

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大森朔衛(おおもり・さくえ)1919-2001

香川県小豆島生まれ。14歳のとき西洋絵画に出会って画家を志し、思い切って上京。21歳で公募展に初入選するが、その後第二次世界大戦の勃発により徴収を受け、激戦地スマトラ島へ。日本の敗戦を知って殉死しようとしたところを戦友に止められ、日本へ戻ってみるとすべてが焼失していた。ゼロからの再出発は、やはり絵をかくこと。
アトリエを建て、絵を描いて出展し、1968年に渡欧してパリ・サンルイ島に滞在。2年後に帰国し、乞われて武蔵野美術大学教授に就任したのは1980年、60歳の時だった。
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作品のキャプションがまたユニークで、画家の人柄を伝えていました。キャプションは大抵、展示してある絵の解説が書かれているのですが……。画家の言葉を用いて、たとえば「陸A」と題された絵には下のようなキャプションが書かれていました。
 
▪️武蔵野美術大学---60才の時、突然、大学教授になってというんですよ。週に2日も行ったら絵を描く時間がなくなっちゃう。断ったら文化庁の特例で1日でもいいからということでしょ。それに、森芳雄さんが退官時に僕を推薦したと聞いて、引き受けたよ。生まれて初めて初任給というものを受け取りました。
 
▪️質問---油画科の学生が僕のとこに就職相談に来たよ、「先生就職先ありませんか?」って質問。「えっ? 君は画家にならないの?」って僕はびっくりして思わず聞き返しちゃったよ。
 
 
絵は、抽象画ですが力強い地平線を感じます。これは私たちに「しっかり歩けよ!」と言っているような気がしました。
 

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実物の感動は何ものにも代えがたいです。ですから、ここに図録の写真などは載せません。ぜひ美術館で本物を観てください。
生き方そのものが炎のような人、その人生が絵に宿っています。