気まぐれ Art note

洲之内徹が連載した「気まぐれ美術館」に憧れてます。

和家具の面白さー小泉和子講演会に行って来ました。

東京都大田区にある「昭和のくらし博物館」は、「昭和26年建築の木造2階建ての庶民住宅(登録文化財小泉家住宅)を丸ごと公開している博物館」です。

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博物館の縦折リーフレットによると、

平成8年までの45年間は小泉さん一家が暮らしており、その後壊すことも考えたが、この時期に建てられた住宅が現在ほとんど残っていないことなどから、戦後の庶民のくらしを伝える資料になるのではないかと考えて、博物館として保存することに決まったとあります。館長・小泉和子さんがリーフレットに書いている言葉が大切だと思ったので、一部紹介します。

「考えてみれば私たちが生きた昭和という時代は、昭和恐慌によって幕を開け、日中戦争、太平洋戦争と、あいつぐ戦争から、戦後はまた、生産体制から社会、文化、生活のすべてにおいて大変動が起こった激動の時代でした。そしてこうした時代の激流にもっともおおきな影響を受けたのがくらしです。くらしは人間が生きてゆく上の基礎となるものですが、くらしというものを重視する基盤の弱い日本では、まず最初に犠牲にされるのがくらし、それも庶民のくらしです。このため、単に住宅と家財を保存しておくだけではなく、ここを学習の場として、くらしの面から昭和という時代をもう一度考え直してみたい、そして出来得るならば、くらしの哲学といったものを打ち立てたいと思い、昭和のくらし博物館』としました。どうかみなさまもご一緒に昭和という時代をもういちど考え直してみてください。」

 

さて、6月11日(土)に昭和のくらし博物館館長・小泉和子さんの講演会があるという情報をgetしましたので、行って来ました。 

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講演会は、「和家具がなくなって、いまは洋家具になってしまった。和家具は面白くて、美しかったのに。私たちは自分の文化をどんどん捨ててしまって、本当にもったいないと思っています。」という言葉から始まりました。この言葉があと3回くらい出てくるので、大変重要なんだと思います。「どっかに棚が捨ててあったら、絶対拾ってきなさい」「みんなは時間が経つと古くなって汚らしく感じて、壊して捨ててしまう」と言われたので、私もどっかに捨ててあったら絶対回収すべしと思いました。

 

棚は日本の造形芸術であり、

和家具の大きな特徴はアシンメトリーであること。アシンメトリーはすべての日本の造形に通じる基準である。それは自然の造形がアシンメトリーであり、日本の家具は自然の造形に習ってつくられている。家具に、自然に対する尊敬や崇拝が表れている。対して左右対称というのは人工的で、自然より人間がえらい。中国は自然環境が厳しいから、自然を征服しなければ生きていけないという考えがあり、したがって造形も左右対称で人工的になる。

というお話でした。和家具の歴史をスライド上映で見せていただきました。

中国から入ってきた正倉院の棚「赤漆文欟木御厨子」、法隆寺の竹厨子(竹を細かく並べてつくった)などから、平安時代になると中国から入ってきた厨子の形が変化して、日本独特の厨子になる。二階厨子、二階棚。そして中世になってまた変化し、『法然上人絵伝』を見ると、違い棚(アシンメトリー)の厨子棚(黒漆塗)が出てくる。

 

天下の三大棚

桂離宮の桂棚

三宝院の醍醐棚

・(もひとつなんだっけ……~~;;汗)

 

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 館内では先日「かんたん野草茶」の講座を開いたということで、そのときの野草が干されていました。

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竹細工、こうして使われているとなんと美しい風景でしょうか。道具は使うものです。 

 

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 ミュージアムショップにあった布ぞうり。84歳のおじいちゃんが編んでいるそうです。オサレ。

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 佐渡の藁草履もありましたよ。

 

学習の場として使用するという講座プログラムがすばらしかったので、(主に参考にしようとしている自分のために)ここに書いておきます。

★講座

・生活史講座……江戸の生活史、女性の歴史、古文書読解など、専門の講師による幅広い分野での連続講座。

・土曜夜間講座……「火鉢を囲んで建築の歴史」など、専門の講師による建築や美術、考古学に関する連続講座。

・家事の伝習講座……漬物や薬草茶などの食べ物づくり、浴衣、袋物などの簡単な和裁や編み物、ハタキづくりや障子貼りといった掃除関係など、おばあちゃんがやっていた昔ながらの家事を実践する講座。

・土曜お茶の間会……主に月末の土曜日に開催するお茶の間サロン。楽器や蓄音機でのレコード演奏会、着物の着付けや茶道などの体験、木や和紙を使ったものづくりのワークショップ、”昭和”をキーワードとしたトークなど、多彩な内容で開催。

★体験学習

洗濯板やすり鉢体験など、小学生を対象とした見学プログラム。すり鉢を使った体験は随時受付(有料)。

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HP:

http://www.showanokurashi.com

 

それから小泉和子先生はたくさん本を出しています。多くを見、多くを読み、よく考える。あたしはまだまだ勉強しますよ。

 

それでは、ご興味のある人は行ってみてください。